いろいろ備忘録

格ゲーとか普通の日々をいろいろ。TRPGのシナリオとか載せたりもしたり本当にいろいろあります。

【マギカロギア】夢愛しの繭【シナリオ配布】

▼シナリオトレーラー
浅き夢見じ、酔ひもせず
戻らぬ死人に、ケシの実一つ

夢を愛した幸せな繭
壊れぬように、色褪せぬように、消えてしまわぬように

色はにほへど、散りぬるを
どうか、愛しい人、消えないでいて

【夢愛しの繭】

▼シナリオ概要
推奨階梯:第四階梯以上
難易度:三単語禁書+書籍卿との戦闘に加え、二単語禁書との戦闘の可能性あり
※二単語禁書との戦闘は回避ルートあり
ルルブ:基本ルルブ推奨、黄昏はあってもなくてもOK
サイクル:4サイクル推奨
PL人数:4人
使用運命変転表:精神的災厄


禁書【虚偽を映す鏡箱】
断章【虚偽】【射影】【鏡箱】
・虚偽…真実ではないのに、真実のように見せかけること。うそ。いつわり。「虚偽の申し立て」
・射影…物の影をある面に映すこと。また、その影。

▼禁書【虚偽を映す鏡箱】/ステータス
攻撃力4 防御力3 根源力4
魔力17
領域:夢 特技:幻、時、深淵、嘘、炎、静寂
―蔵書―
【加勢《嘘》】【観察】【乙女召喚《炎》】
【幻影】【強化】【沈黙】

▼シナリオ基幹
とある書籍卿の願った哀れな世界の噺
「愛しい人がいない世界など壊れてしまえばいいのに」
《理想郷》の書籍卿【有月 千雨(ゆうげつ ちさめ)】は一冊の禁書を手に入れる。
禁書【虚偽を映す鏡】は所有者、憑依した者にとって「一番、幸せな現実を夢で見せる」力を持つ。
しかし、所有権利がなくなったり、憑依から解放されると夢から覚めるように現実へ帰る。

これだけならありがちな魔法災厄だが、本来の力は「一番、幸せな夢と現実を完全に入れ替える」ことにある。

「夢と現実が完全に入れ替わる」というのは「夢で願ったことが現実として世界に認識される」ことである。

【有月 千雨】の目的は禁書を使い、「過去に死亡した愚者の恋人が永遠に生きる日常」を世界に認識させること。


▼もう一つの禁書
禁書【宵越しの花】
・二単語の禁書
・宵越し…前夜から次の日まで持ち越すこと
人界を彷徨っている禁書
→【有月千雨】の恋人の魂が核になっている
・恋人の魂が核になっているが【有月千雨】の意思が反映され、禁書【虚偽を映す鏡箱】の魔法災厄を強める力を得ている。
・本来は禁書に成り得ない死者の魂だが、これは「世界が彼女の夢を現実へと認識し始めている」影響である。



▼登場NPC

▽浅木 夢路(あさき ゆめじ)※シナリオアンカー
ハンドアウト
・資産家の両親と兄と暮らす女子高校生
・写真家を目指しており、コンクールでも賞を取っている

GM
・彼女は女子高校生ですが参加PCに合わせて、中学生や大学生と変えても構いません。

▼浅木 夢路(あさき ゆめじ)
【秘密】
・断章【射影】に憑依されている
・憑依深度2
・両親と兄が亡くなっており、断章に憑依されたことで「家族が揃っている」という夢を見ている

▼断章【射影】/ステータス
攻撃力3 防御力3 根源力4
魔力6
領域:夢 特技:幻、時
―蔵書―
【観察】
【幻影】


▼近衛 京(このえ きょう)※シナリオアンカー
ハンドアウト
・役者をしている青年
・今度、大きな舞台に出るらしく稽古に熱が入っている

▼近衛 京(このえ きょう)
【秘密】
・断章【虚偽】に憑依されている
・憑依深度1
・一年前から病を患い、役者を休業している
・断章に憑依されたことで「役者として大舞台に立つ自分」という夢を見ている

▼断章【虚偽】/ステータス
攻撃力4 防御力3 根源力3
魔力7
領域:闇 特技:深淵、嘘
【加勢《嘘》】
【強化】


▼有月 千雨(ゆうげつ ちさめ)
ハンドアウト
・有名な画家の女性
・近々、個展を開くらしくメディアに大きく取り上げられている
・数年前に恋人が事故で亡くなっている

【秘密】
・《理想郷》の書籍卿
・数年前に亡くなった恋人を禁書を使い、世界に繋ぎとめようとしている
・断章【鏡箱】を所持している
・このハンドアウトが第2サイクル終了時までに公開されなかった場合、未回収の断章の憑依深度が1点、上昇する
・彼女との魔法戦に勝利すると断章【鏡箱】も回収することができ、通常の魔法戦の勝利プライズ処理を断章【鏡箱】にも適用する。

▼有月 千雨【琥珀色の春】/ステータス
攻撃力4 防御力3 根源力4
魔力8
領域:星 特技:異界、雨、血、風、悪意
《魂の特技》微睡みの抱擁
《真の姿》宝石箱/精神集中
―蔵書―
【緊急召喚】【乙女召喚《雨》】
【感染《闇/悪意》】【還送《星/異界》】
【貢物《獣/血》】【吸魔《なし/装備》】


▼断章【鏡箱】/ステータス
攻撃力3 防御力3 根源力3
魔力4
領域:星 特技:炎、静寂
―蔵書―
【乙女召喚《炎》】
【沈黙】


▽夢に出てきた男性
ハンドアウト
・夢の中に出てきた泡に消えた男性
・顔も何も見えず、ただ『男性』だということ以外はわからない
※調査不可

▼常成 智世(つねなり ともせ)
ハンドアウト
・脚本家の青年
・新しい舞台の脚本を頼まれている
・舞台が成功したら、恋人にプロポーズしようとしている

【秘密】
・既に死亡している青年
・禁書【虚偽を映す鏡箱】となんらかの魔法的要因で現世に存在している
・彼自身に「自分が既に死亡している」という意識はない
・このハンドアウトが公開されるとハンドアウト【???】を公開する

※彼をアンカーにしていたPCはセッション終了後にアンカー欄から彼を削除すること。
疵にはなりません。


▼【???】
ハンドアウト
・【常成 智世】の傍から感じられる不思議な気配
・今のところ悪意は感じられないが何かを伝えたがっているようだ…
・断章が一つでも回収されると秘密が公開される

▼【???】
【秘密】
【???】→【常成 智世の魂】
・過去に死亡した【常成 智世】の魂が現世に干渉した存在である
・また、彼は禁書【宵越しの花】という二単語禁書へと魂が変化しつつある
・この秘密が第3サイクル終了までに公開されなかった、かつ【有月 千雨】に魔法戦で勝利していなかった場合、禁書【宵越しの花】として覚醒する

▼禁書【宵越しの花】/ステータス
攻撃力3 防御力3 根源力3
魔力7+一時的魔力2(幻脳)
領域:獣 特技:花、叫び、別れ、幻
―蔵書―
【騎士召喚《花》】
【虚針】
【幻脳】
【妖革】


▼山札
▽シナリオアンカー
浅木夢路、近衛京、有月千雨、夢に出てきた男性(常成智世)
4枚
▽条件付き山札
【???】1枚
合計5枚


▼導入

▽導入1【現のまにまに】浅木夢路
推奨PC:表の顔が学生
貴方は友人である写真家を目指す【浅木夢路】に写真の被写体になってもらうように頼まれるシーンです。
近いうちにコンクールが控えており、いろんなものを撮っては試行錯誤しているようです。
「今はとにかくいろんなもの撮ってみたいの。人でも建物でも、とにかく沢山! 私は写真を通していろんな人に沢山のものを見せたいと思ってるんだ」
両親に買ってもらった愛用のカメラを片手に彼女は夢に向かってひたすらに走っているようです。
ハンドアウト【浅木夢路】を公開。
PCは彼女をシナリオアンカーとし、運命点を1点獲得します。
推奨運命:尊敬、興味


▽導入2【美しき残酷】近衛京
推奨PC:特になし
貴方はテレビや雑誌などで人気俳優【近衛京】が近いうちに大きな舞台の主演に抜擢されたことを知る。
彼はまだ20代の若手でありながらも、演技力の高さや人柄の良さで人気の俳優だ。
「今回の舞台に主演としてやらせていただくことを嬉しく思っています。他の役者さん、監督やスタッフの皆さんと最高の舞台にできるように頑張っていきたいです」
ハキハキとした明るく主演挨拶をする彼の姿に舞台への期待とやる気が伝わってくるようです。
ハンドアウト【近衛京】を公開。
PCは彼をシナリオアンカーとし、運命点を1点獲得します。
推奨運命:興味


▽導入3【決して、離れずに】
推奨PC:天涯所属
貴方は夢を見ていた。それは一人の男性が海に沈んで、泡に消えていく夢。
それを一人の女性が追いかけていく。しかし、女性は男性が泡になっていくのを止められずに哀しみに暮れていく……
「あぁ、あぁ……どうして、わたしは、なぜ……」
「こんな世界、運命……認めない。だから、会いに行くわ。愛しい人……」
女性がそう呟いたところで夢は終わります。
ハンドアウト【夢に出てきた男性】を公開。
PCは彼をシナリオアンカーとし、運命点を1点獲得します。
推奨運命:興味


▽導入4【色彩の町】
推奨PC:参加PCの中で経歴、階梯が一番高い
貴方は所属する支部や機関の上司からとある町の調査を命令されます。
その町の名前は「色葉町(いろはちょう)」と言います。
映画館やコンサート会場などの舞台やミュージカルの盛んな町です。
しかし、その町で「原因不明の眠り病」が流行っているという。
この眠り病は数日間、眠った後に「眠る前と後で愚者は現実への認識のズレ」を感じているそうだ。
周りと眠り病の患者とで「現実への認識のズレ」が生じ、本来とは違う記憶障害に陥っている。
「例えば『自分には恋人がいた。しかし眠りから覚めれば恋人などいなかった』や『身の回りで誰かが亡くなっている。しかし、覚めれば亡くなっていない』というものです」
「愚者へは長い眠りの間で起きた睡眠、記憶障害だと対応していますが長くは持たないでしょう」
上司は貴方を含めた分科会を結成することを告げます。
ここでこのPCの導入は終わります。シナリオアンカーは共通導入にて公開します。
なので、魔力決定などは通常通り、ここで行ってください。


▽共通導入
大法典へ召集されるシーンです。
呼び出されたPC達は「色葉町(いろはちょう)」という町で確認された魔法災厄の解決、禁書【虚偽を映す鏡箱】の回収を命じられます。
魔法災厄については導入4で説明した内容を改めて伝えてください。

加えて色葉町では大きな舞台が今度、開かれること、【有月千雨】という画家の個展が開催されることを伝えてください。
ここでハンドアウト【有月千雨】を公開。
導入4のPCは彼女をシナリオアンカーにしてください。
推奨運命:興味

「調査期限は4日間。5日後には編纂儀式を直ちに行ないます。どうかご武運を」
担当の魔法使いはそれだけ言うと分科会達を色葉町へ見送ります。

▼マスターシーン
【夢は泡沫になりて】
新規ハンドアウト【常成智世】を公開及び、登場させるマスターシーンになります。
第1サイクルシーン2開始時に挟んでください。

第1サイクルシーン2開始時に【近衛京】とテレビインタビューを受ける【常成智世】をマスターシーンとして演出してください。

また、このハンドアウトをシナリオアンカーにしているPCは夢に出てきた男性が彼に似ているようだと演出をし、ハンドアウト【常成智世】を公開し、アンカー欄を彼に変更してください。

加えて、【夢に出てきた男性】のハンドアウトを【常成智世】として扱います。


▼登場NPCについて

▽浅木夢路
写真家を目指す女子高校生です。
そこそこに大きな資産家の父親と専業主婦の母親、父親と働く兄との4人暮らしをしています。
しかし、数年前に両親と兄が交通事故で亡くなっています。

現実の彼女は父親の兄夫婦に引き取られています。
写真家という夢は元は家族写真を自分が撮ったのを褒められたことが始まりでした。
しかし、その始まりである家族が喪われている現実で彼女は写真家という夢を諦めかけています。
断章はそんな彼女の心の哀しみに付け入りました。

断章が回収されると眠りにつき、魔法災厄で受けた「現実へのズレ」を修正し、家族のいない現実へ戻るでしょう。

そこから彼女がどうするかはPCの言葉次第では現実を受け入れ、再び写真家への夢を歩き出します。
彼女へどう接し、どう言葉をかけるかはPC次第になります。

▽近衛京
20代半ばの若手俳優の男性です。
彼が注目されるようになったのはとある恋愛ドラマです。
主役の友人という何気ない役ではありましたが、それが評価されてバラエティやドラマ、舞台への出演が増えました。

全てが順調だった彼に病魔の手が忍び寄ります。
病名は肺がんでした。
これからという時に彼へ起きた悲劇。
まだ発病から1年ほどしか経ってはいませんが予定していた舞台に出られず、哀しみに暮れていたところへ断章が憑依してしまったのです。

断章の憑依から解放されると彼は病院の上で目を覚ますでしょう。
それが彼の「紛れもない現実」なのです。

病院のテレビを眺め、自分も俳優として誰かを笑顔にしたいと涙を流します。

闘病を続け、彼は肺がんから回復することはできます。勿論、芸能界へ復帰もできるでしょう。

しかし、それはまだ遠い未来の話。彼に対し、どう言葉をかけるかはこれもPCの自由です。


▽常成智世
数年前に海へ転落死してしまった30代前半の男性です。
魔法災厄によって「生きている」と世界へ認識されています。
その魂は恋人であった有月千雨と禁書【虚偽を映す鏡箱】によって禁書【宵越しの花】へと存在が変化しかけています。

魔法災厄の起きている最中は近衛京が主演を務める舞台の脚本家を頼まれています。

生前の彼は穏やかな性格で同じ脚本家仲間や役者達からも尊敬されていました。

けれど、映画の撮影中に海で転落死してしまいます。
この転落死はただの事故ではなく一冊の禁書の引き起こした魔法災厄によるものです。

禁書【宵越しの花】として覚醒してしまった場合は「世界の全てを否定する」という存在になります。
自分が存在し得ない世界など壊したい、自分は何故、死ななければならなかったのかと世界の全てを怨むでしょう。

禁書として覚醒しなかった場合は恋人の有月千雨を止めてほしい、彼女がこれ以上、自分が死んだことで他の誰かを傷つけてほしくないと訴えるでしょう。

全てが終わった後は「現実通り」に彼は消えていきます。
それが「世界の現実」なのです。


▽有月千雨
女性画家として名を馳せる彼女は過去に恋人を失ったことで《理想郷》の書籍卿になりました。

有月千雨は恋人の死を受け止めきれずにいました。そこへ《理想郷》の手が伸びる。「貴方のような人を出さない世界を共に作りませんか?」と……
彼女はその手を取り、今まで生きてきました。

そして禁書【虚偽を映す鏡箱】を使えば彼とまた会えると魔法災厄を起こします。
彼女の強い想いと禁書の力によって死んだ恋人を「世界へ認識」させることに成功します。

勿論、魔法災厄による歪んだ方法で得たものです。
それでも彼女にとっては恋人と再び、会えるのなら他なんてどうでもよいのです。
例え、それがいつか禁書となったとしても。

禁書【宵越しの花】へと常成智世が覚醒した場合、彼女は自らを差し出し、契約し禁書中毒になることを望むかもしれません。
そうでまして彼女は願ったのです。

全てが終わり、禁書が回収されれば彼女は監獄へ収容されるかPCが望むのならその場で処刑され、消滅するでしょう。

監獄に収容された後は恋人のことを思いながら、長い時を過ごすでしょう。




ここまで閲覧ありがとうございました。
こちらのシナリオは第四階梯以上のマギカロギアに慣れてきたPL向けに作成しました。

誰もが大切な人を失うのは耐えられない、叶うならどんな形でも、どんな手段を使っても、どんなに歪んでいようとも再び、出会いたいと思うでしょう。

シナリオ基盤はありきたりではありますが二単語禁書と書籍卿の存在で少しだけ戦闘難易度を上げてみました。(上がっているかはわかりませんが…)

シナリオタイトルのコンセプトは「愛しい夢を詰め込んだ繭の中で彼の人との再会を」です。

前のページに登場NPCについても細かいですが載せましたので回されるGM様は参考にしてくださると幸いです。
なにかシナリオについて質問等ございましたら気軽にどうぞです。

最後にこのシナリオの著作権は壱村在にあります。自作発言などは一切、禁止しております。
それでは皆さんの楽しい魔法使いライフを願っております。


初掲載(privatter):2018.10.6
はてなブログ掲載:2018.10.10
壱村 在
Twitter:itimura_ari