いろいろ備忘録

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マギロギシナリオ【Re:Voice(リメンバー ボイス)】の実卓後補完

どうもおはこんばんちわ。壱村です。
今回は岩手のTRPGコンベンション「岩卓」に久しぶりにマギロギGMとして参加いたしました。

そこで使用した【Re:Voice(リメンバー ボイス)】についての補完をしたいと思います。

シナリオのネタバレも含みますので、これから配布後に「やってみたい!」と思った方はそっ閉じをお願いします。

 

 

 

 

タイトルは「声を思い出す、声を忘れる」というそんなニュアンスでつけました。

大切な人の顔は思い出せないけれど、声だけは覚えている…そんな感じです。

 

そして、シナリオ全体のテーマは「忘れることが正しいか、正しくないか」的なものです。

 

禁書【久遠に響け、我らが栄光を】は「意図的に一度消された記憶を思い出させる」魔法災厄です。

これを<旧世界秩序>は所持しており、学派の目的である「魔法使いをもう一度、世界に知らしめる」を達成させようとしている…がシナリオの大まかなあらすじです。

 

つまり、魔法を秘匿したい大法典と魔法を秘匿したくない旧世界秩序のいざこざ…と言っていいかはわかりませんが、そんな関係を描いたシナリオです。

 

NPCの一人である【田村香奈】は本来ならいるはずのない兄を家族や友人に「兄はいる」と訴えているが信じてもらえない。

彼女の兄は魔法使いで数年前になんらかの要因で消滅しています。

魔法使いは消滅すると記録も残らず、家族や友人の記憶からも消えます。

 

香奈は断章に憑依され、思い出してはいけない兄の記憶を思い出させられたのです。

大切な兄の記憶を思い出すということは一見すると「良いこと」のように思うでしょう。しかし、マギロギの世界では「あってはいけないこと」です。

愚者ならともかく、消滅した魔法使いを思い出すことは世界の秩序を揺るがしかねないのです。

 

そんな彼女に憑依していたのは断章【久遠】

兄はいるはずで、ずっと一緒にいたいという純粋な想いを持つことからこの断章を憑依させました。

 

ここがPLと魔法使いであるPCとの葛藤部分になると思います。

もしかしたら、兄が魔法使いであり既に消滅していることを伝えたいというPLもしくはPCもいるでしょう。

 

基本的に魔法使いと魔法の存在は秘匿されなければなりません。

香奈を想い、どのような行動を取るかがみそになるのではないでしょうか。

 

 

次のNPC【杉島一樹】は小説家の青年でここ最近、作品が大きな賞をとり、映画化もされることになったという。

しかし、これも断章による偽りのものです。

 

彼に憑依していたのは断章【栄光】

小説家としてはそこそこの知名度でありながらも、大きな賞をとったこともメディア展開も少ない彼にとっては「偽りでも栄光に縋りたい」と思ったのです。

 

ここが少し、禁書の魔法災厄と外れてしまうと思うかもしれません。

ですが、一樹は「自分が小説家として売れていない」ということを忘れたいと思っています。

むしろ魔法災厄とは真逆なのです。ここがみそです。

 

大法典側としては「断章が憑依し、偽りの記憶を正さねばならない」よって「意図的に記憶を消す」という解釈もできます。

「意図的に」というのは断章が作った偽りの記憶部分に当たるので、たとえ正しいことであっても記憶を「戻す」が「消す」となることでもあります。

偽りであっても「一つの記憶」であることには変わりないのですから。

 

 

次のNPC「火月千波」は将来、有望とされている作曲家の女性です。

彼女は有望とされていますが、最近スランプ気味。

 

そんな彼女に憑依したのは断章【残響】

彼女は元々はイタリアに住んでおり、両親を亡くした孤児でした。

大法典に彼女の血縁者がおり、引き取る予定が確定していたのを<旧世界秩序>が誘拐したのです。

 

それから何年か経って、大法典はようやく彼女を<旧世界秩序>から取り戻すことができたのです。

血縁者の「魔法とは無縁の生活を送ってほしい」という願いと想いから、彼女は「自分が魔法使いであり、書籍卿であった」記憶を消されます。

さらに数年後に<旧世界秩序>は彼女を学派へ呼び戻すために動いたのです。

 

ハンドアウトのスランプは断章に憑依された影響からです。

コンベンションでは詳しく説明できなかったのですが、恐らく千波は夢などで魔法使いである頃のことを見ていたのでしょう。

 

シナリオ内の千波は「魔法使いであることを忘れて、幸せである」ことから断章に憑依され次第に「魔法使いでしかも書籍卿である」ことに強い罪悪感や存在意義への疑問を浮き彫りにさせていきます。

 

千波にとって「忘れていたほうが幸せか、思い出したほうが幸せか」という選択肢をPC達は迫られます。

大法典と血縁者からすれば忘れていてほしいと思います。

勿論、断章を回収すれば忘れたままでPC達が何かをしない限り、そのままでしょう。

 

上記でも触れたとおり「シナリオ内の千波は魔法使いであることを忘れている現状が一番、幸せである」のです。

 

真実を全て伝えることが正しいことではない。

彼女を本当に想うならどの選択が正しいか…このシナリオの一番の肝になります。

 

あくまで魔法災厄はそのきっかけにすぎません。

最終的にどう選ぶかはPCでありそれを動かすPL次第です。

 

 

ここでシナリオ全体のテーマである「忘れることが正しいか、正しくないか」の回収となります。

世界の秩序、規律を守る為に大法典は魔法を秘匿します。

しかし、大破壊前は現在よりもその秘匿性は強くなかったらしいのです。

(ここはいろいろ公式的なあれがいろいろあるのであまり追求はしません)

 

少なくとも<旧世界秩序>からすれば魔法の秘匿性や魔法使いの威厳を取り戻すには大法典の考え、信条とは確実に相反しています。

 

このシナリオでは大法典側であるPCと対立している書籍卿のそれぞれの関係性や、マギロギの世界観をなるべくはっきりさせること、それを初心者でも知ってもらうことを目的にしています。

 

PCは大法典側で「正しい」と思っているわけですからそれが「正しくない」と異議を唱える存在を知ることはとても重要です。

全てが正しいことばかりではない、立場や解釈、いろんなものから正当性や正義は変わります。

 

なので、今回のシナリオは自分でもなんですが良い内容になったのではないかと思います。

実卓ではマギロギ経験者の方達だったのですが面白かったと言っていただいたので、嬉しい限りです。

 

長々と書きましたが大体のシナリオ特にNPCから見る補完ができたと思います。

これからもマギロギのシナリオは作り続けたいと思いますので、壱村共々、よろしくお願いします。